今回はリンパ浮腫の治療法の一つである
「圧迫療法」
についてお話していきます。
前回までに「スキンケア」、「医療徒手リンパドレナージ」について
お話させていただきました。
♦圧迫療法って?♦
リンパドレナージにより改善されたむくみの状態を維持する、
そしてよりむくみの状態を改善させる為に必要な治療法です。
外側から圧迫をすることで、
組織液やリンパ液が細胞の隙間に溜まることを防ぎます。
また、圧迫をした状態で関節運動(肘や膝の曲げ伸ばしなど)を行うことで、
筋肉のポンプの働きとの相乗効果により、
リンパ液や静脈血を上へ上へ(中枢部へ)と運んでくれます。
圧迫力は末梢部が一番強く、中枢部に向かうにつれて徐々に弱くなるようにします。
圧迫療法には、むくみの状態に応じて
「弾性包帯による圧迫(バンデージ療法)」と
「弾性着衣による圧迫(ストッキングやスリーブ等)」
があります。
♦弾性包帯による圧迫(バンデージ療法)♦
滞っているリンパ液を集中的に排液するのに効果があるため、
むくみを改善させる「治療」として行います。
硬くなった皮膚をやわらかくする効果もあります。
バンデージ療法はむくみの状態に合わせて巻ける、
というのが特徴です。
日によりむくみの状態や体調は違います。
その日の状態に合わせて巻き方や包帯の本数を変えるなど、
変化に合わせて調節をすることができます。
バンデージを巻くときは、
初めに保湿クリームやローションなどでスキンケアをします。
末梢部から中枢部に向かうにつれて圧迫力が弱くなるように包帯を巻き、
巻き終えたら肘や膝が適度に曲がるか確認をします。
〇以下の場合は圧迫を弱めるか休止しましょう
・心臓がドキドキする(血圧が高くなっている)
・手先や足先が冷たくなる
・痛みやしびれがでてくる
・かゆみがでたり、かぶれてしまう
高血圧の方、静脈疾患をお持ちの方、患肢に麻痺のある方なども
圧迫力を弱くするなどの調節が必要です。
♦弾性着衣による圧迫(ストッキングやスリーブ等)♦
リンパドレナージやバンデージ療法により改善されたむくみの状態を維持、
むくみの進行(症状の悪化)を防ぐことができます。
サイズや形状、圧迫力は症状や身体のサイズに合わせて購入します。
合わないものを使用すると、かえって症状を悪化させてしまったり、
炎症を起こすきっかけになることがあるので注意が必要です。
弾性着衣には「丸編み」と「平編み」の2種類の編み方があります。
<丸編み>
婦人用のパンティストッキングと同じ製造方法で作製されている
既製品が多く、生地が薄手から厚手のもの、
サイズや形状、色など豊富に種類があります。
特注品に比べて安価です。
<平編み>
セーターを編むように各パーツを作製し、それぞれを縫い合わせる
特注品が多く、生地に厚みがあり、
患肢のサイズに合わせて作るためぴったり密着します。
その為、むくみに対し効果的な圧迫をすることができます。
特注品だと高額になります。
〇着用時に気をつけるポイント
・爪で生地をひっかけない(ゴム手袋を使用する)
・生地をしっかり伸ばし、シワにならないように
(シワがあると皮膚にくい込み、赤くなることがあります)
・生地が劣化するため着用前に保湿クリームなどは使用しない
(寝る前にたっぷり保湿をしておく)
〇弾性着衣の交換の目安
・生地が伸びていて圧迫力が弱くなっている
・上端がずり落ちてくる
・伝線していたり、穴が開いている
・むくみの状態が変化して、サイズが合わなくなっている
・圧迫力が強く患肢がしびれる、手先や足先が冷たくなる
・着用すると症状が悪化する
弾性着衣の使用期間は大体3ヶ月~6ヶ月と言われています。
使用頻度により異なるので、着用前に弾性着衣の状態を確認しましょう。
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弾性着衣は療養費の申請ができます。(保険で購入できる)
詳しくは説明いたしますので、
メールフォームまたはお電話(TEL 070-6998-4836)
にてお問い合わせ下さい。
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治療室ではセルフバンデージの方法や弾性着衣の着脱方法についても教えています。
次回は「運動療法(圧迫下)」についてお話していきます。